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2016年1月22日 (金)

023 引きこもり 【ひきこもり】

仕事や学校に行かず、安心できる場所に退避している様。
医療業界においては、暗に薬剤部を指すことがある。


【例文】
① Aさんは仕事を辞めてから、――のような生活を送っている。
② 薬剤師も病棟に出るようになってようやく、――から脱してきた。


【解説】
かつての病院薬剤師の業務は、薬剤部内における調剤、医薬品管理が中心だった。その後、病棟患者のもとを訪室し服薬指導業務を行なうことが一般化し、さらに近年では1病棟に対し1名程度の薬剤師を配置することも増えてきた。
つまり、薬剤部=引きこもりとする構図は既に古いものとなりつつある。それどころか、バイタルサインのチェックやチーム医療や回診への参画など、医療の最前線に出ている薬剤師も決して珍しくない。その分、今まで担っていた中央業務が疎かになっている面があることは否めないが、とにかく薬剤師はその活躍の場を確実に拡げつつあるのである。

それでも長年のイメージというのはなかなか払拭されないもので、例えば医療ドラマに薬剤師の登場はほとんどなく、「病院薬剤師」というと、地下の薄暗いところでメスフラスコ片手に薬の調合をしている職業という世間一般のイメージも未だにあるようだ。


【新解釈】
ただ、私個人、<引きこもり>の何が悪い、と開き直りたい。高い質の中央業務が維持できてこそ、薬剤部は病棟業務やチーム医療に参加する資格があるはずである。活動範囲を拡げることばかりが求められるこの時代に、あえて薬剤部にこもり、ディフェンス要員として病院を支えている、いぶし銀引きこもりに、私は熱いエールを送りたい。


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2016年1月17日 (日)

022 独裁国家 【どくさい-こっか】

特定の個人、あるいは集団が司法・行政・軍事などの全権を掌握し、支配している国家のこと。軍事独裁政権、共産主義体制、絶対王政など、種類は多様にわたる。
医療業界においては、暗に看護部のことを指すことがある。


【例文】
① 北朝鮮は有名な――である。
② あそこの病院は、看護部による――的な雰囲気がある。


【解説】
病院内という閉塞的な環境において、おそらく最も発言力のある部署は看護部ではないかと思う。多くの部署の人員が局部的、あるいは流動的に配置されている中、看護師だけは(たとえ人材不足だとしても)一定数以上の固定配置があり、勤務時間も当然24時間体制だ。病棟で何をするにも、看護部の協力なくしては成り立たず、その発言力と説得力には目を瞠るものがある。
各病棟に師長がいて、さらにそれを統率する看護部長、その脇には助さん角さんのように副看護部長が寄り添うという構図は、その権威を完璧なるものにしている。
役割分担や教育分野にアドバンテージを取っているのも看護部である。良く言えば規律が整っている、悪く言えば支配的な雰囲気を持つ。

【新解釈】
定時になると看護学生がスタッフステーションに整列し、口を揃えて「今日も一日、ご指導ありがとうございました」と頭を下げる光景をよく目にするが、あれは廃止を提案したい。指導者が対応していればまだいいが、誰も耳を傾けずパソコンに向かっていたり、ひどい時は誰もいないスタッフステーションに看護学生の声だけが響いていることがある。
教育が行き届いていることと、支配的であることとはまるで意味が変わってくることを認識いただきたい。


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2016年1月14日 (木)

021 RCC 【あーる・しー・しー】

赤血球濃厚液(Red cell Concentrates)の略称。


【解説】
血小板輸血や血漿輸血もあるが、一般的に輸血と言えば赤血球濃厚液、RCCを指すことが多い。使用量は単位で表され、1単位140mlである。重度貧血や大出血のリスクがある手術時などに頻用されている。
ちなみに血小板はPC、血漿はFFPと略されることが多いので、新人薬剤師にはぜひとも覚えておいていただきたい。


【新解釈】
なお、RCCを【retort chicken curry】、すなわちレトルトチキンカレーと翻訳する連中も少なくない。医療業界における略称の安易な使用は、こうした危険を孕んでいることを念頭に置き、
「RCC4単位、至急でお願いします」と言われた際に、「赤血球濃厚液の輸血ですか? それともレトルトチキンカレーの温めですか?」と確認する機転を見せたいところだ。


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2016年1月12日 (火)

020 漢方薬が著効 (慣用句)

思いもしなかった幸運が舞い込むこと。
ダメ元の行為が、結果的に良い方向に転がること。


【例文】
① まさかあの患者さんに――するとは思いもしませんでした。
② ――することだってあるんだから、希望を捨てずに頑張ろう。


【解説】
同義に、<棚からぼたもち>がある。
多くの漢方薬は古くからの経験や「証」という一風変わった概念をもとに使用されるため、エビデンスを重要視する西洋医学とは考えを異とする。
効果があるかはわからないけど、ひとまず不穏だから抑肝散を試してみようとか、トイレが近いから八味地黄丸で経過を見ようとか、言葉は悪いがお試し感覚で漢方薬が使用されることも多い。見方を変えれば、効果がはっきりしない、どういう症例に使ったらいいのかよくわからない、というにも関わらず現代医学でもしっかり使用されている漢方薬という存在は驚異とも言えるのである。


【新解釈】
飲む側の心構えで効果が変わってくることもある。漢方薬は効くと思えば効く、効かないと思えば効かない。
信じる者は救われる、と言わんばかりの東洋の神秘に、漢方薬は別名<飲む宗教>とも呼ばれ崇められているという。


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2016年1月 8日 (金)

019 胃粘膜保護剤専門薬剤師

防御因子増強剤に特化した知識を持つ薬剤師のこと。


【資格取得条件】
① 薬剤師として3年以上の勤務経験を有していること
② 立場の弱いものに手を差し伸べる気概溢れる人物であるという、病院長からの推薦があること
③ 5種類以上の胃粘膜保護剤を採用し、各々についての使用ガイドラインを院内で作成していること


【解説】
医師は、胃粘膜保護剤をどうにも軽視する傾向がある。そんな折に発足されたこの専門薬剤師制度が、医療業界に旋風を巻き起こした。セルベックスやムコスタをはじめ、イサロンやガストローム、ゲファニールなど、下火となっている医薬品にも手を差し伸べる胃粘膜保護剤専門薬剤師は、まさに医師にとってどうでもいい治療の良きパートナーとなり得るはずだと期待されている。

かつて、NSAIDsへの併用に際し、「ムコスタ派」と「セルベックス派」に分かれ、一時は薬剤師界全体を巻き込み暴動にまで発展しかねない険悪な空気だったことがある。これを憂慮した日本薬剤師会が、それぞれの支持者20名を集め、ついに決着の場を設けた。8時間にも及んだこの「ムコスタ-セルベックスの戦い」、ほぼ互角とみえたこの争いに終止符を打つことになった、当時の日本薬剤師会会長があくび交じりに放った台詞はあまりに有名で流行語大賞ノミネートとなったことは記憶に新しい。

それが、「まあ、適応通ってるし、タケプロンにしときましょ」というものであり、あまりの正論と晴天の霹靂に参加者全員、開いた口が塞がらなかったという。


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2016年1月 4日 (月)

018 塩 【しお】

塩化ナトリウムの一般呼称。まれに、地域限定ではあるが、モルヒネ塩酸塩を指すこともある。


【例文】
① 血清ナトリウムが低いので、――を3g追加してみましょう。
② 薬剤師さん、これから今日使う――を取りにいきます。


【解説】
電解質の中でも最も馴染みあるものが、ナトリウムではないだろうか。家庭用としては食塩、医療用としては塩化ナトリウムとして頻用されている。医療界での略称が<ナトリウム>ではなく<塩>なのは、あまりに生活に密着した電解質であり、その方がわかりやすいからだろう。

さて、問題はもう一つの隠語の方である。モルヒネ塩酸塩を<塩モヒ>と略すのはわかる。先述したやくざいし語録17 リンコデと同じ理屈だからだ。ただ、一部地域、しかも一部の医療者に限り、モルヒネ塩酸塩を<塩(しお)>と呼ぶことがある。
紛らわしい略語は、本来避けるべきである。しかし、医療過誤の温床とも言うべき由々しき事態において、塩(しお)=モルヒネ塩酸塩という構図を知らない者が、あたかも無知であるという烙印を押されることがある。こうした理不尽が、塩対応という言葉を生んだという。


【新解釈】
ごく限られた場所で使用される略称を、まるで公用語のごとく堂々と使用する者を、<医の中の蛙>と揶揄することもある。


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